現場だより
建築現場のこれから
こんにちは、工事部のHです。
私が大学を卒業し、現場監督の仕事を初めてから、もうすぐ25年になります。
なんとなく建築の仕事がしたいと思ったのは高校3年生の時、気付けば、47歳なので30年の月日が経ってしまった計算になります。
毎日が必死であっという間という感覚です。
建築は建築学と言われるだけあって、歴史が古く、とても奥が深いのと、関わる知識ががとても多く広範囲にわたります。
それは建物それぞれの用途が違うからです。
学校、幼稚園、住宅、病院、老人ホーム、保育所、事務所ビル、店舗、工場等々たくさんあります。
当社もたくさんの種類の建物を建てています。
建物は人々の生活に係わるので安全性も必要です。
そのため、法律や守らなければいけないルールなど難しい決まり事がたくさんあり、覚える事も多いです。
でも、その難しさが面白いと思うところの一つです。
30年経ってもまだまだ、自分の知らない事が多く、勉強が足りないと思います。
そして技術の進歩と共に、最近ではBIMと言われる建築システムが世の中の主流になりつつあります。
BIM(Building Information Modeling)
直訳すると建物に関する情報のモデリングだそうです。
簡単に説明すると、これまで図面は平面的(2D)に書いていましたが、高さの情報を入れる事で立体的に表現するというものです。
いわゆる3Dです。
そして、この3Dに、物の重さや質感、具体的な製品の品番などの情報を入れて、図面を描いていくと、PCの中で本物の建物と同じものが出来上がります。
なぜ、こんな事をするのか。
・2Dの図面に比べて3Dのが誰が見ても分かりやすい。
・PCの中で建物を完成させているので、どこに、どれだけの材料が、いつ頃必要になるのかが分かる。
・事前にどのような計画で建物を造るのか、シュミレーションをする事ができる。
・建物が完成した後、メンテナンスでもこの技術が活かせる。
そして、私が思う最大の特徴は、建築特有の『納まり』の検討がPC上でできるのです。
下のイメージのように、建物を好きな所で切断して見る事ができます。
このように見る事で、鉄骨と設備配管、扉や階段といった建物の使用感を事前に予測できます。
PC上で検討を重ねてから、実際に建物を造るという事が簡単にできるようになります。
まだまだこれから発展が見込める技術として、PCからこうしたデータをショベルカーのような建設機械に送り、そのデータを基に自動で機械が建物を造っていくことにもなるでしょう。
凄い時代になってきました。
30年前、こんな事になるなんて、私には想像すら出来ていませんでした。
そして、そんなに遠くない将来、現場に人はいなくなるかもしれません。
ロボットが動いて、建物を造っているようになるかもしれません。
ですが、私たちみたいな現場監督がいなくなるかというと、そうでもなさそうです。
このデータやロボットを操作する技術者が必要になるからです。
現場で働く女性の方も増えるでしょう。
当社もいち早く、この流れに乗ろうとしています。
4年程前、私が、BIMを使ってみたいと社長へ相談すると、すぐにやろうという事になりました。
決して安いソフトではないのですが、すぐに購入してくれました。
施工BIMからスタートし、現在では設計、積算でもBIMを使い始めました。
BIMを使っていて、改めて感じる事は、このソフトには先人の経験、知識がたくさん詰まっているという事です。
今までたくさんの時間と手間がかかっていた施工計画の検討、作図、数量計算をいとも簡単に瞬時に、正確にしてくれます。
とても分かりやすく、建築知識の少ない人にでも伝えやすくなりました。
私にとってBIMは、今ではなくてはならないものになっています。
しかし、忘れてはいけないのは、機械に操られるのではなく、機械を操るという事です。
自分の知識向上のため、日々自分自身の勉強は必要だと思います。
私は、もっと早くにこんな技術に触れたかったと思いました。
建築現場の将来の可能性をとても大きく感じます。
私は47歳で、体力も記憶力も年々衰えて来ていますが、建築が面白い、楽しいと思う気持ちは増しているように思います。
当社にも毎年、新しい社員が入社してきます。
その人たちから見ると私は親くらいな年齢になります。
新しい世の中の事はその人たちから教わるとして、古い歴史や難しい建築の事はいつでも伝える事が出来るように、技術者として日々勉強し、時代の流れに取り残されないようにしていきたいと思います。