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曾祖父さんを思う 〜京街道ウォーキング 第二弾〜

曾祖父さんを思う 〜京街道ウォーキング 第二弾〜

営業部のNです。

今回は、2年前に掲載した京街道ウォーキングについての続編をお届けしたいと思います。

私がもともと京街道ウォーキングを始めたのは、歴史が好きだということでした。

この度は曽祖父・祖父の故郷が京都市伏見区墨染であるのも理由の一つに加えられました。

 

私自身は生まれも育ちも大阪市旭区です。

祖父が仕事の関係で大阪に移り住んだことによります。

 

私は祖父とは一緒に暮らしていましたが、曽祖父は生まれた頃にはすでに亡くなっており顔も知りません。

私が少年の頃は、時々京都から親戚の人たちが家に訪れ、「そうどすえ」「そうえ」という京言葉で話すのを聞いていました。

その会話の中で、宗吉さん(そうきっさん)という名前がよく出てきました。

その(そうきっさん=そうきち)が私の曽祖父だと後に知りました。

 

墨染に行ったところで宗吉爺さんに会えるわけではないのですが、会うに近しい体験をしたかったのかも知れません。

私は、これまで曽祖父の故郷に訪れたことはありませんでした。

わざわざ歩いて行かなくても京阪電車の墨染で降りれば良いことです。

でも、自分の気持ちは「簡単に行きたくない」と思っていたのかもしれません。

 

さて、以前のブログでは、今の自宅付近の光善寺から樟葉までの道のりを綴りました。

その後、樟葉から淀までは達成できました。

今回は、先の理由で淀から墨染まで京街道を辿っていくことに決めました。

スタートから前半は、民家、線路沿い、宇治川堤防沿いを5kmほど歩きます。

       淀の河津桜

 

淀競馬場付近の線路沿いで「戊辰戦争戦没者の碑」に出逢いました。 

そこの説明書きには、「幕軍の人たちも官軍の人たちも、自分の道が正しいと信じ、士道に殉じた」と記されていました。

 

幕末の壮絶な模様を想像し、その十数年後に宗吉爺さんが生まれたことを想像しました。

宗吉爺さんの前の代が武士だったら、「私は存在していなかった可能性もある」と思いながら、歩を進めました。

誰も歩いている人はいませんので、ご先祖のことなどの想像に耽ることができます。 

 

               宇治川堤防

 

5kmほど歩けば、中書島付近で風景が変わります。

三栖閘門という濠川(ほりかわ)と宇治川の合流点があります。

そこは伏見港といい、十石船や三十石船が観光用で運行しています。

                伏見港公園

 

中書島付近には、観光地としては鉄板の「寺田屋」・「龍馬通り商店街」・「黄桜酒造」があるのでせっかくだから、寄り道することにしました。

                 寺田屋

 

龍馬通り商店街を歩いている時に、目に飛び込んできたのがあるお店の黒板ポップ看板です。

「ひるのみ ちょいのみ 大歓迎」

「ハイボール+コロッケ 550えん」

この看板の前で、一瞬足が止まり、はっとしてまた歩き、また戻りすること数回。

       龍馬通り商店街

 

三栖閘門あたりの、観光客が増え始めた頃から、ご先祖を思う気持ちが薄らいでいた自分がいました。

「自分はなんと意思が弱いのか」

「まだ半分ちょっと過ぎたところじゃないか」

「そんなことで宗吉爺さんたちは何とおっしゃるだろう」

と心のうちで繰り返しているうちに、ようやくスタート時の気持ちに戻ることができました。

 

そこからは、伏見区の市街地をジグザグに北上していきます。

         伏見総合庁舎付近

 

やはりそこは京都。京町屋の建物も残っています。

多分こういう建物が並ぶ町で、宗吉爺さんは暮らしていたんだろうなと想像します。

 

どんな人生を送ったんだろう。

今、私が歩いている道もきっと歩いていただろうな。

幸せだったのかな。

楽しく暮らしていたのかな。

辛いことや苦しいことも沢山あったんだろうな。

墨染が近づいてくるとそんな思いが巡ります。

 

伏見区総合庁舎や税務署付近を経て程なく行くと、大和街道という名でもある道を東向きに曲がり、墨染町に入ります。

入るとすぐ、「墨染寺(ぼくせんじ)」があります。

調べてみると、かなり古いお寺で、知る人ぞ知る桜の名所になっているそうです。

          墨染寺

 

多分、宗吉爺さんもここでお花見くらいはしただろうな。

酒飲みだったのかな。

女好きだったのかな。

ついそんな下世話な想像もしてしまいます。

いや、子供たちや家族の安全を念じたこともあるに違いないと思い直します。

 

私には、宗吉爺さん家族が住んでいた場所の確たる情報も無いので、墨染町を端から端まで歩いてみることにしました。

「このあたりだったかもしれない」と、時折そう思いながら。

         墨染町の街並み

 

そして、宗吉爺さんやその家族に「見守っていてくださいね」と念じつつ、去ることにしました。

どこからか見守ってくださっていることを信じて。