社長ブログ
森信三語録(七)
仕事について ②
ものごとの処理は、まず手順を間違えぬことから―――
しかしそれには、あらかじめ、準備しておく必要がある。
(森信三)
よく段取りされた現場では、効率的に効果的に工事が進み、会社も儲かり、職方さんも儲かります。
現場監督の力量は、まずこの段取り力で決まるといってよいでしょう。
そして、この段取り力には全体を捉える力を必要とし、視野の広い人ほどいい段取りができるのです。
それでは視野を広げ、全体を捉えられるようになるためには、何が必要でしょうか。
それが森先生のいわれる準備なのです。
この準備の時間を惜しむ人は、良い段取りが組めず、手順を間違い、かえって時間や費用を浪費することになります。
次に準備の仕方を上げてみます。
⑴ タスクのリストアップ
今自分が抱えている仕事(タスク)をすべてリストアップし、それらが常に頭の中になければなりません。
また、タスクに気づいたら、ベッドの中であろうと、トイレの中であろうと、その場でリストに加えなければなりません。
時間がたってしまうと、忘れてしまったり、思い出すのに時間をかけなければならなくなります。
そのためにも、思いついたことをすぐに書き留められるように筆記用具を常に携行する習慣が大切なのです。
⑵ タスクを重要度、緊急度によって分類し、取り組む順序を決める。
仕事というものは、雲霞のごとく押し寄せてくるものです。
取り組む順序を間違うと、二進も三進もいかなくなってしまうことも往々にあります。
そのために重要度と緊急度によって、四つのフィールドに分類し、取り組む順序を決めることが必要になります。
⑶ 仕事に集中する環境をつくる
人間は一度に一つの仕事しかできません。
頭の中にやらねばならない仕事がぐるぐる回っているようでは、仕事に集中することはできないのです。
先に述べた⑴や⑵の作業も、集中する仕事を決めるために行っているのです。
また、環境整備もたいへん大切です。
刀鍛冶は仕事場にしめ縄をめぐらして仕事をするそうですが、我々も同じことです。
部屋や机の上が乱雑な状態では、雑念を刺激しているようなもので、とうてい仕事に集中することはできないでしょう。
⑷ 気分転換
仕事に集中し続けることができれば、それに越したことはないのですが、煮詰まってしまったり、疲れが出てしまう時もあります。
しかし、そんな時にも、必ずしも仕事を離れて休息をとる必要はありません。
種類の違う仕事をやれば、気分転換になり、再び元気を取り戻して元の仕事に戻れるようになるものです。
仕事の上達には、必ず仕事の仕方の上達がなければなりません。
仕事の仕方の工夫の上に仕事の成果が載るのです。
その意味で、仕事の工夫とは、仕事の仕方の工夫でもあるのです。
仕事ができる人を見ていると、仕方の工夫を重ねてきていることがよく分かります。
また、一日が終わったとき、その日の仕事を振り返り、翌日のタスクを整理し、それを翌日のタイムスケジュールに落とし込む。
仕事場に入ってから、何をするかを考えているようでは、次から次に変化する状況に流されるだけで、予定をこなしていくことはできないはずです。
それ故、このスケジューリングまでの作業が習慣化できていなない人は、まだプロフェッショナルの域に達しているとは言えないのです。
この努力を日々続けていくこと。
この地道な作業、すなわち準備の習慣化こそが、明日を開く鍵になるのです。