社長ブログ
森信三語録(九)
仕事について ④
日常の雑事雑用を、いかに巧みに要領よくさばいていくか——
そうした処にも、人間の生き方のかくれた呼吸があるといえよう。
(森信三)
私たちは仕事を通じてお互いに支えあっています。
そして、その仕事のほとんどは、小さな雑事雑用から成り立っています。
どんなに大きなプロジェクトであっても、為すべき雑事雑用の量が膨大になり、それを順序付けてさばいていくのが、難しくなるだけのことなのです。
また、社長の仕事といっても、けっして仕事の塊が大きいわけではありません。
留守中にかかってきた電話の返事をするとか、いただいた手紙に返事を出すとか、雑事雑用が大半であることに変わりはないのです。
それだけに「雑事雑用を巧みにさばいていく」ことは、仕事の基本中の基本なのです。
そして、その呼吸を体得することで、より多く人を支えることが出来るようになるのですから、若い時からこの呼吸を習得するトレーニングを積んでいくことがとても大事なのです。
仕事は「小を積んで大と為す」ことによって、成し遂げられるのですから、雑事雑用を軽んじることなく、さばき方の工夫を凝らしていくことが肝心なのです。
その仕事のさばき方の一つとして次のようにも述べられています。
仕事は一気呵成にやり抜くに限る。
もし一度には仕上がらず、どうしても一度中断せねばならぬ場合には、半ばを超えて六割辺までこぎつけておくこと——これ仕事をやりぬく秘訣である。
難しい仕事や量の多い仕事を始める前には、どうしても気が重くなり、なかなか手を付けられないものです。
それを克服してやっと始めても、半ば迄で中断してしまうと、再開するときにも始める前と同じように気が重くなってしまう。
そこを我慢して六割辺までこぎつけておくと、ずいぶん気が楽になって簡単に再開できるものです。
私もこのやり方をするようになって、仕事がスムーズに運ぶようになりました。
ぜひ試してみてください。
森信三先生は次のようにも言っておられます。
手紙の返事はその場で片づけるのが賢明。
丁寧に・・・と考えておくれるより、むしろ拙速を可とせむ。
手紙の返事が遅くなってしまうことは、私にもよくあります。
丁寧にと思って、後回しにしてしまい、結局不義理をしてしまうことにことにもなりかねません。
これは手紙の返事だけではなく、書類の処理などにも言えることです。
机の上に書類が溜まっている人は、その場その場で決着をつけることが出来ず、机の上に書類の山を作ってしまうのです。
その場で決着をつける力は、億劫に負けない精神の緊張から生まれてきます。
仕事の出来る人は、この精神の緊張感を持っているのです。
物事は一応八〇点級の出来映えでよいから、絶対に期限に遅れないこと。
これ世に処する一大要訣と知るべし。
いくら良い仕事をしても、期限に遅れたのでは、その仕事の価値は無に等しくなります。
完璧な書類を作っても、その提出が竣工検査に間に合わなければ評価されることはありません。
また、請求書の査定をどんなに的確にしても、支払日に間に合わなければ、協力会社さんに迷惑をかけることになります。
まして、どんなに品質のいい建物を造っても、工期に間に合わなければ、お客様に喜んではいただくことはできません。
当社は仕事を丁寧にすることを大切にしていますが、期限に遅れてしまうと、その丁寧さに価値はなくなります。
それだけに、期限が迫っているときには、全体観を持って八〇点級の仕事をすることも必要な心得なのです。
私たちの人生は、会社だけでなく家庭や地域も含めて、仕事の連続といっても過言ではありません。
そして、仕事は雲霞のごとく押し寄せてきます。
すべての仕事に期限があり、常に私たちは時間と闘わなければなりません。
だからこそ、その仕事をいかにさばけるかは人生の重大事なのです。
そして、仕事をさばく秘訣は、億劫に負けず、仕事の順序を判断できる精神の緊張感にあると言えます。
高い目標を常に意識して、この緊張感を高めていきたいものです。