社長ブログ
森信三語録(十)
ホスピタリティ精神を育む
人間も、多少とも人の気持ちが分かりだしますと、しぜんと人のために尽くそうという気にもなってくるのです。
ところがそういう人は、どちらかと言えば、世の中には少ないのですから、しぜんと周囲の人々からは歓迎されるわけです。
つまり、あちらに行っても、こちらに行っても引張凧となるのです。
(森信三「修身教授録第二十九講」)
私たち凡人は、我(自己中心性)をなかなか手放せずに生きています。
自分の都合の良いように周りが回ってくれることを願い、そうならないと、世の中は苦に満ちていると思うわけです。
このように我に引っ掛っているが故に、関心は自分の利害だけにとどまり、人の利害には目がいかない。
まして人のために尽くすなど思いも寄らないということになってしまいます。
これではいい人生になる筈がないのです。
冒頭の森信三先生のことばにあるように、周りの人々から歓迎され、あちらこちらから引張凧になるような楽しい人生にするためには、何よりも人のために尽くすところがなければなりません。
そして、人のために尽くそうという思いが湧いてくるためには、人の気持ちが分かるようにならなければならないのです。
さらに人の気持ちが幾分かでも分かるようになるためには、人に意識関心を向ける必要があるのです。
当社の経営基本方針の(3)には、次のようにあります。
インサイトを引き出し、お客様満足を追及する。
*お客様に意識関心を向け、ホスピタリティ精神を育む
この言葉は、ただのセールストークではありません。
我を手放して、意識関心をお客様に向けると、そのことがお客様に尽くそうとするホスピタリテイ精神を生むということを言っているのです。
謂わば、私達の心の修養の言葉といっていいかもしれません。
そして、社員皆がこの姿勢になれば、自ずからお客様から引張凧になる会社になれるのです。
自分の我に引っ掛って、自分の利害しか目に入らぬ利己的な人は、周りの人々から疎まれ、決して良い人生を歩むことはできないものです。
また、それ故人生というものは、苦の連続で虚しいものだとも思うわけです。
そんな風に思っているときの自分を冷静に振り返ってみると、意識関心が自分にだけ向いているということが見えてくるはずです。
人間はその字が示すように、人の間、すなわち人間関係を生きているのです。
自分だけを見つめていても、自分の人生は分からない。
常に周りの人々に意識関心を持つことによってのみ、正しい生き方が分かってくるのです。
だから当社の理念は「『ありがとう』の溢れる会社をつくろう」なのです。