社長ブログ

問題は創造の機縁

問題は創造の機縁

創造というものは、深く深く考え続け、考え抜くという苦しみの中から、ようやく生まれ出るものです。決して思いつきや、単なるアイデアから得られるものではありません。

創造的な心とは、持続した強い願望、それがもたらすあくなき追求心のことをいうのです。

デイープシンキング、つまり苦しみ、もがき、のたうち回る中で生まれてくる、創造的なリーダーでなければなりません。

稲盛和夫「心を高め経営を伸ばす」)

 

私たちが初めての仕事に取り組んだり、状況の変化が激しい中で仕事をしていると、必ず問題にぶつかります。

言い換えれば、問題が生じるからこそ、それを仕事というのであって、問題が生じないものは作業に過ぎないとさえ言えるかもしれません。

だから、仕事は問題が起きて当たり前。問題が起きれば、自分は仕事をしているのだと思えばいいのです。

問題が起きなければ、それは先に誰かが問題を解決してくれていて、作業にしてくれているから問題が起きないのです。

 

工程がうまく運ばず、工期に間に合うかどうかわからない。

価格が合わず、予算を守れない。

設計図にあるように施工で納めることができない。

お客様からクレームをいただく。等々。

これらはすべて仕事をしているからこその問題なのであって、前に進もうとしているからこそ起きてくることだと思えばいいのです。

問題が起きない仕事などないのです。

決して、問題が起きることそのものが問題ではありませんし、まして失敗などではないのです。

大事なことは、この問題に突き当たった時に、逃げることなく問題に取り組めるかどうかなのです。

 

大きなことを作り上げることが創造ではありません。

むしろ大きな創造も小さな創造(工夫)の積み重ねといってよいでしょう。

工期を短縮するためにどんな方法があるのか、価格を合わせるためにどんな工夫ができるのか、納めるために他に方法はないのか、クレームにいかに対応するのか。

それらはすべて問題が起きたからこそ生まれる創造なのです。

直面する課題に誠実に応えようと、決して音を上げることなく、苦しみながらも深く深く考えて克服していくことが大事なことなのです。

その些事とも言えるような小さな創造(工夫)の積み重ねが、仕事の質を上げ、さらに難しい仕事への取組みを可能にして、お客様の高いニーズにお応えし、さらには社会の要請に応えうる人と会社に育てていくのです。

 

考えることはとても辛くて面倒なことですから、そこから逃げ出したくなるものです。

しかし、考えることによってのみ、問題は解決されるのです。

そして、それを体験した人はそこに仕事の本当の喜びを見出すのです。

その積み重ねが仕事のレベルを上げていきます。

問題から逃げ出す人とそれに果敢にチャレンジする人とは、一年や二年では差は出ないかもしれません。

しかし、それが五年、十年たつともう取り返しがつかないほどの大きな差になります。

そして、仕事にやりがいを見出し、活き活きと人生を送れるかどうかの岐かれ道にもなるのです。

 

これは会社も同じことです。

繰り返して言いますが、問題があることが問題ではなく、問題に正面から取り組んでいるかどうかが問題なのです。

仕事で新たなことにチャレンジすれば、必ず問題は発生します。

しかし、それが個人と会社を成長させる機縁となるのです。

気楽にやり慣れたことばかりやって、チャレンジしなければ問題は生じにくいでしょう。

しかし、それでは成長も革新も期待できず、いつかは消え去っていくことになります。

問題があるから悪いのではありませんし、問題がないから良いのでもありません。

むしろ問題が生じるからこそ、創造(工夫)の機会が生まれる。

人と会社の成長は、その機会の多寡によるのであり、問題を怖れずチャレンジしようとする成長願望の強さにかかっているのです。