社長ブログ
ハリとシマリをつくる——職場の三大原則を大切にする
当社の理念「あるべき企業風土」に「職場の三大原則を大切にする——時を守り、場を清め、礼を正す」を掲げています。
この三大原則には、それぞれにたいへん深い意味があるのですが、共通して言えるのは、これらを守ることによって生活に張り(ハリ)と締まり(シマリ)ができるということです。
その職場がお客様に満足いただける商品を生み出したり、心地良い雰囲気になるためには、ハリとシマリは何としても必要なものです。
倒産の危機に瀕した企業が、見事に再建されたケースの多くで、この三原則が真っ先に取り組まれているのは、けっして理由がないことではないのです。
企業の倒産は、ある日突然起こるのではありません。
少しづつ兆しが芽生え、それが顕著になり、最後には抗いようもなくなって遂に倒産に至るわけです。
ですから兆しが見え始めてから倒産に至るまでには十分な時間があり、対策を講じえた場合がほとんどではないかと思います。
にもかかわらず、どうして企業は倒産するのか。
まずは兆しに気付かなかったこと。
いつも有意注意で会社を取り巻く環境変化や社内の異変に目を配っていないと、兆しに気付くことができないのです。
次には倒産の危機が明らかになってからも、誰もその対策に動こうとしなかったこと。
兆しの段階ではまだ問題は小さく、対処にそれほどのエネルギーを必要としませんが、問題が大きくなってくると、今度はその困難さに動けなくなってしまうのです。
いずれの場合も、真剣さに不足し、億劫さに負けてしまうことに原因があります。
そして、そのもとをたどれば、ハリとシマリのなさに行き着きます。
ハリとシマリの有無は企業の存亡を左右すると言っても過言ではありません。
個人の場合も同じです。
例えばいつも提出物の期限に遅れる人もハリとシマリがないのです。
ご当人は少し遅れているだけと思っているかもしれませんが、提出物を管理している方からすれば、いつまでたってもその人のお蔭で次の仕事にかかれず困っているわけです。
その結果、その人の信用は徐々に失われ、大事な仕事も任されなくなっていく。
相手がお客様の場合であれば、クレームを頂戴したり、悪い場合には仕事を頂けなくなってしまうのです。
人間の生活は、次から次へとやってくる公私を含めた仕事の連続だと言ってもよいでしょう。
それ故、仕事にどのように取り組むかという問題ほど、人生の大事はないと言ってもよいくらいです。
どれを取ってどれを捨て、何を先にして何を後にするかという判断を的確に下しながら、取り組むと決めた仕事に全力で取り組む。
そんな仕事に対する姿勢ほど、自分を修練するものはないと思います。
仕事の取捨選択や先後の判断を間違わぬためには、全体観が備わっていなければなりません。
この判断を真摯に重ねることによって、全体観を磨くことになるのです。
また、仕事に全力で取り組めるかどうかは、その仕事の意味をどこまで深く理解しているかにかかっています。
人間は意味の分からぬことに力を発揮することはできません。
逆に、意味の理解が深まれば深まるほど、自然と全力を傾けられるようになります。
すなわち、この修練をどれだけ積むかによって、その人の人生の深さが決まってくるように思います。
人間はともすれば弛緩してしまう弱い存在ではあります。
それだけに、その修練に取り組む姿勢の基になるものが必要です。
それがハリとシマリであり、その土壌となるものが「時を守り、場を清め、礼を正す」という三大原則なのです。
人間性を高めたい、人のお役に立てる人間になりたいと思っても、思っただけでそんな人間になれるわけではありません。
自分の弱さと戦いながら、一つ一つ積み重ねていくしかないのです。
その戦いの武器が、ハリとシマリであり、それは「時を守り、場を清め、礼を正す」の中に育んでいかれるのです。